これは便利!採卵数と刺激日数から薬剤投与量が計算できる!!

不妊治療の調節卵巣刺激で使用されるゴナドトロピン製剤の開始用量について、日本人向けに計算式を作成した文献を見つけました。また、その計算がweb上の計算機で使用できるので便利なツールになりそうです。

 

2022年12月に受理されたばかりの、ほやほやの報告です。

DOI: 10.1002/rmb2.12499  


タイトルはこちらです。

The gonadotropins starting dose calculator, which can be adjusted the target number of oocytes and stimulation duration days to achieve individualized controlled ovarian stimulation in Japanese patients

 

採卵数だけではなく、調節卵巣刺激の日数からゴナドトロピン製剤の開始用量を計算して、個別化治療ができる、というものですね。

 

通常、薬剤の投与量はどのようにして決定しているかというと、各病院、クリニックにより方針がありますので、実は日本全国で統一されているものではないようです。

 

いわゆる先生の経験や技術がまさに妊娠率を大きく左右するといわれている領域です。まさに神の手ですね。

 

もちろん、各ゴナドトロピン製剤の添付文書に開始用量について記載があり、また刺激途中で用量を増やしたり減らしたりできる薬剤もあります。その範囲内で先生方は投与量を調節しているわけですね。

 

ただ、2022年4月から不妊治療の多くが保険適用となったこともあり、ある程度の統一化も必要ではないかという声もあります。

 

この論文は、その声を反映した、まさにタイムリーな報告かと思います。

 

切り口として興味深かったのが、次の3点です。

  1. 希望する採卵数と刺激日数から計算できる
  2. 使用するファクターは年齢とAMH
  3. 計算機がwebにあり誰でも利用できる

 

1.希望する採卵数と刺激日数から計算できる

論文にも述べられておりますが、妊娠率を考える時、最適な採卵個数は何個か、という議論は海外含め何度も何年もかけて報告されております。患者の年齢、何人子供が欲しいのか、卵巣機能、新鮮胚移植か凍結胚移植か、など様々な条件がありますが、5~15個と集約されているようです。

 

日本での2022年4月以降の保険適用下での採卵では、10個以上の場合、保険点数は同じで15個採れても20個採れても10個と同じです。

 

また刺激日数という観点は、日本人らしく、とても共感できるポイントでした。おそらく日本は海外と違い、患者様にとてもフレンドリーだと思います。採卵や移植は平日でなければ難しいクリニック、病院がほとんどだと思いますが、例えば、注射は土日や平日の夜遅くでも対応してくれる不妊クリニックが多くあります。

 

不妊治療を行っている女性は有職者も多く、仕事を抜けて通院というのは、なかなか苦しいものです。

 

そのため、刺激開始日から刺激日数を考慮し、例えばクリニック側の理由で日曜を外す、とか、患者側の都合で採卵日は平日を外すなど、予定に合わせて刺激日数を決めて、ゴナドトロピン製剤の投与量を計算できるようにした、という発想がとても素敵ではありませんか!!

 

2.使用するファクターは年齢とAMH

投与量を算出する際、どのファクターを使用するのがよいか、ということも様々なところで議論されております。ここでは年齢とAMHですが、その他、AFC、FSH値、体重、BMI、喫煙歴、その他ホルモン値などが考慮されております。

 

2021年に日本でも発売になったゴナドトロピン製剤のひとつであるレコベルは、投与量は体重とAMHで算出するよう添付文書に記載されております。

 

AMHは血液検査で測定されますが、2022年4月以降は保険でカバーされるようになりました(半年に1度)。体重は体重計があれば簡単に測定できます。そのため、この2点は簡易なファクターですね。

 

ただ、現実では、体重計がないクリニックも多く、患者さんから自己申告された体重の数値を計算に用いることもあるようです。その場合、女性がどの程度正確な体重を報告しているか、という点は気になります・・・。

 

それを考えると、女性は年齢も少しごまかす傾向にはありますが、保険証に記されておりますので、年齢の数値の方が正確な情報となります。

 

3.計算機がwebにあり誰でも利用できる

URLはこちらです。

fsh | CALCONIC_ Calculator

 

実際は、このような式が算出されたそうですが、自分で計算するのは面倒なので、ちゃんと計算機をWeb上に提供してくださっており、とても便利ですね。

Optimalstartingdoseofgonadotropin(IU)=targetnumberofoocytes(numberofoocytes)∕(−0.00019331∗Age(years)+0.00108384∗AMH(ng∕ml)+0.00856471)∕Stimulationdurationdays

 

そしてこのソフトのすごいところを最後に記します。

算出される投与量は細かくでるが、薬剤の目盛りや添付文書に沿った形で至適な投与量を示すところです。

例えば、採卵個数10個、刺激日数11日間が希望の3-歳でAHMが2ng/mlの方だと184.28IUと算出されますが150IUが表示されます。(上記左図参照)

この細やかな点が配慮されている計算機です。

 

最後に、この計算方法がどのように算出されたか、について記します。

計算式を用いる試験では、投与量を算出するためにLa Marcaのノモグラを基本として100名の患者の調節卵巣刺激をし、ゴナドトロピン製剤の総投与量と採卵個数から式を導き出しております。それをOSIとしており本試験の主要評価項目になっております。

OSI:oocytes retrieved per total dose of  gonadotropin 

 

La Marcaのノモグラムから調整された投与量

40歳未満の患者:

・112.5~187.5IUと算出された場合➡150IU

・187.5~230IUと算出された場合➡225IU

40歳未満だがAMH値が3.0ng/ml未満:

・300IU

40歳以上の患者:

・300IU

AMH値が0.5ng/ml未満:

・225IU

 

背景として、La Marcaのノモグラムは25歳から40歳までが対象で、算出される投与量も75~230IUまでという制限があるからです。日本では40歳を超える不妊治療患者様は多く存在しますし、ゴナドトロピン製剤の投与量も添付文書に合わせたようですね。

 

その後、12名で検証しコントロール群と比較しております。

 

この後、この計算式が評価され、かつ普及し、データが集積されるとまた新たな発見があるかもしれませんね。続報を楽しみにしたいです。

 

そして、個人的に気になった点を記して終わりにします。

総投与量と採卵個数から投与量を算出して計算式を求めておりますが、その計算式を用いて投与量が180IUと算出されても150IUで投与することになります。この1日30IU(180-150IU)×10日(刺激日数を10日とした場合)の300IUの総投与量の差は誤差範囲なのでしょうか。あるいは実臨床では刺激途中で投与量の増減ができるため、この過不足分は調節するといいのでしょうか。途中で増減しなければ刺激日数が2日程度のびるかもしれないのでしょうか。

 

DISCLAIMER

個人的に読んだ文献の解釈です。読み間違い、理解不足あるかと思います。誤認、誤記等は温かい目で見守ってください。また実際の治療はガイドラインや添付文書等に従ってください。

 

★キコの願い★

子どもを持ちたいという方々が安心して有効で安全な不妊治療を受けることができ、赤ちゃんが訪れますように♪♪

 

 

 

 

これは便利!採卵数と刺激日数から薬剤投与量が計算できる!!

不妊治療の調節卵巣刺激で使用されるゴナドトロピン製剤の開始用量について、日本人向けに計算式を作成した文献を見つけました。また、その計算がweb上の計算機で使用できるので便利なツールになりそうです。

 

2022年12月に受理されたばかりの、ほやほやの報告です。

DOI: 10.1002/rmb2.12499  


タイトルはこちらです。

The gonadotropins starting dose calculator, which can be adjusted the target number of oocytes and stimulation duration days to achieve individualized controlled ovarian stimulation in Japanese patients

 

採卵数だけではなく、調節卵巣刺激の日数からゴナドトロピン製剤の開始用量を計算して、個別化治療ができる、というものですね。

 

通常、薬剤の投与量はどのようにして決定しているかというと、各病院、クリニックにより方針がありますので、実は日本全国で統一されているものではないようです。

 

いわゆる先生の経験や技術がまさに妊娠率を大きく左右するといわれている領域です。まさに神の手ですね。

 

もちろん、各ゴナドトロピン製剤の添付文書に開始用量について記載があり、また刺激途中で用量を増やしたり減らしたりできる薬剤もあります。その範囲内で先生方は投与量を調節しているわけですね。

 

ただ、2022年4月から不妊治療の多くが保険適用となったこともあり、ある程度の統一化も必要ではないかという声もあります。

 

この論文は、その声を反映した、まさにタイムリーな報告かと思います。

 

切り口として興味深かったのが、次の3点です。

  1. 希望する採卵数と刺激日数から計算できる
  2. 使用するファクターは年齢とAMH
  3. 計算機がwebにあり誰でも利用できる

 

1.希望する採卵数と刺激日数から計算できる

論文にも述べられておりますが、妊娠率を考える時、最適な採卵個数は何個か、という議論は海外含め何度も何年もかけて報告されております。患者の年齢、何人子供が欲しいのか、卵巣機能、新鮮胚移植か凍結胚移植か、など様々な条件がありますが、5~15個と集約されているようです。

 

日本での2022年4月以降の保険適用下での採卵では、10個以上の場合、保険点数は同じで15個採れても20個採れても10個と同じです。

 

また刺激日数という観点は、日本人らしく、とても共感できるポイントでした。おそらく日本は海外と違い、患者様にとてもフレンドリーだと思います。採卵や移植は平日でなければ難しいクリニック、病院がほとんどだと思いますが、例えば、注射は土日や平日の夜遅くでも対応してくれる不妊クリニックが多くあります。

 

不妊治療を行っている女性は有職者も多く、仕事を抜けて通院というのは、なかなか苦しいものです。

 

そのため、刺激開始日から刺激日数を考慮し、例えばクリニック側の理由で日曜を外す、とか、患者側の都合で採卵日は平日を外すなど、予定に合わせて刺激日数を決めて、ゴナドトロピン製剤の投与量を計算できるようにした、という発想がとても素敵ではありませんか!!

 

2.使用するファクターは年齢とAMH

投与量を算出する際、どのファクターを使用するのがよいか、ということも様々なところで議論されております。ここでは年齢とAMHですが、その他、AFC、FSH値、体重、BMI、喫煙歴、その他ホルモン値などが考慮されております。

 

2021年に日本でも発売になったゴナドトロピン製剤のひとつであるレコベルは、投与量は体重とAMHで算出するよう添付文書に記載されております。

 

AMHは血液検査で測定されますが、2022年4月以降は保険でカバーされるようになりました(半年に1度)。体重は体重計があれば簡単に測定できます。そのため、この2点は簡易なファクターですね。

 

ただ、現実では、体重計がないクリニックも多く、患者さんから自己申告された体重の数値を計算に用いることもあるようです。その場合、女性がどの程度正確な体重を報告しているか、という点は気になります・・・。

 

それを考えると、女性は年齢も少しごまかす傾向にはありますが、保険証に記されておりますので、年齢の数値の方が正確な情報となります。

 

3.計算機がwebにあり誰でも利用できる

URLはこちらです。

fsh | CALCONIC_ Calculator

 

実際は、このような式が算出されたそうですが、自分で計算するのは面倒なので、ちゃんと計算機をWeb上に提供してくださっており、とても便利ですね。

Optimalstartingdoseofgonadotropin(IU)=targetnumberofoocytes(numberofoocytes)∕(−0.00019331∗Age(years)+0.00108384∗AMH(ng∕ml)+0.00856471)∕Stimulationdurationdays

 

そしてこのソフトのすごいところを最後に記します。

算出される投与量は細かくでるが、薬剤の目盛りや添付文書に沿った形で至適な投与量を示すところです。

例えば、採卵個数10個、刺激日数11日間が希望の3-歳でAHMが2ng/mlの方だと184.28IUと算出されますが150IUが表示されます。(上記左図参照)

この細やかな点が配慮されている計算機です。

 

最後に、この計算方法がどのように算出されたか、について記します。

計算式を用いる試験では、投与量を算出するためにLa Marcaのノモグラを基本として100名の患者の調節卵巣刺激をし、ゴナドトロピン製剤の総投与量と採卵個数から式を導き出しております。それをOSIとしており本試験の主要評価項目になっております。

OSI:oocytes retrieved per total dose of  gonadotropin 

 

La Marcaのノモグラムから調整された投与量

40歳未満の患者:

・112.5~187.5IUと算出された場合➡150IU

・187.5~230IUと算出された場合➡225IU

40歳未満だがAMH値が3.0ng/ml未満:

・300IU

40歳以上の患者:

・300IU

AMH値が0.5ng/ml未満:

・225IU

 

背景として、La Marcaのノモグラムは25歳から40歳までが対象で、算出される投与量も75~230IUまでという制限があるからです。日本では40歳を超える不妊治療患者様は多く存在しますし、ゴナドトロピン製剤の投与量も添付文書に合わせたようですね。

 

その後、12名で検証しコントロール群と比較しております。

 

この後、この計算式が評価され、かつ普及し、データが集積されるとまた新たな発見があるかもしれませんね。続報を楽しみにしたいです。

 

そして、個人的に気になった点を記して終わりにします。

総投与量と採卵個数から投与量を算出して計算式を求めておりますが、その計算式を用いて投与量が180IUと算出されても150IUで投与することになります。この1日30IU(180-150IU)×10日(刺激日数を10日とした場合)の300IUの総投与量の差は誤差範囲なのでしょうか。あるいは実臨床では刺激途中で投与量の増減ができるため、この過不足分は調節するといいのでしょうか。途中で増減しなければ刺激日数が2日程度のびるかもしれないのでしょうか。

 

DISCLAIMER

個人的に読んだ文献の解釈です。読み間違い、理解不足あるかと思います。誤認、誤記等は温かい目で見守ってください。また実際の治療はガイドラインや添付文書等に従ってください。

 

★キコの願い★

子どもを持ちたいという方々が安心して有効で安全な不妊治療を受けることができ、赤ちゃんが訪れますように♪♪

 

 

 

 

みんな大好きお金の勉強!

お金は大好きだけど、勉強は嫌いでしたっけ(笑)。ですよね。私も同じです。でも、学校の勉強はしなくてもお金だけは勉強した人が勝ちます。いえ、勝ち負けではありませんね。笑います。ですね。

貯金してますか?

お金にとらわれる人生、ろくなことない。はい。そうです。同感です。でもお金はあっても困らないですよね。所詮、わたくしは庶民なので、大金持ちにはなれず、お金を狙われることもありません。もちろん小さい詐欺もありますので注意は必要です。

 

当然ですがお金を貯めるコツはたったひとつ。

【使うお金を入ってくるお金より少なくすること。たったこれだけ。】

ダイエットと同じです。消費エネルギーより少ない量の食事にすれば体重減りますよね。当たり前のことだけど、これができてない人が9割。ダイエットも貯金もどっちもね。ここさえ見直せば、一歩踏み出せたも同然です。

 

そのあとは、筋トレするのか、有酸素もするのか、プロテインは積極的に摂取すべきなのか、のように、お金も投資するのか、どの証券会社にするのか、投資信託なのか株なのか、不動産買うのか、的な話です。

 

ですが、2カ月勉強をした結果、時すでに遅し。私の場合、もう投資する年齢ではありませんでした。少ない資産を減らすリスクをとる年齢ではなかったのです。ということで老後は今まで以上に細々と生きていくしかありません。

 

私のようにならないよう、若い方はぜひ、お金の勉強をして楽しい生活を送ってください♪

 

ついでに申し上げますと、薬剤師になることはおススメできません。これは、お金の面でですよ。社会貢献という意味では非常に価値のある誇りのある職業であることは間違いありません。詳しく聞きたい方はご連絡くださいませ。個別相談承ります(笑)。

生殖医療初心者でも簡単な卵巣刺激薬⁉

こんにちは!日曜薬剤師のキコです。

今日は生殖医療の初心者ドクターでも使いやすい薬剤についてお話します。

 

調節卵巣刺激で注射剤って基本的に使われますよね。

その名のごとく卵巣を刺激して卵胞を育てて複数の卵子を採卵するための薬剤。

 

これ、簡単そうだけど、初めての患者さんに対して、じゃ、どの程度の量の注射を打ってもらうかって、ここが医師の腕の見せ所なんです。

 

患者さんの年齢や卵巣予備能で同じ注射の量でも卵胞の育ち方が変わってくるんですよね。そして途中で量を増やしたり減らしたりするのも医師の経験がものすごく重要となってきます。

 

でも安心してください。初期用量がバイオマーカ―で簡単に決定出来て、かつ、途中で用量調整しなくていい薬剤があるのです。

不妊治療で使われる薬剤

こちらは、患者さんの体重AMH値で投与量が計算できる薬剤なんです。

AMHの詳細については別途解説しますが、簡単にいうと卵巣予備能を知ることができるものです。採血で測定できます。そして、2022年4月から検査として保険適用になりましたね。

AMHとは

AMHについてご存知の方は多いかと思いますが、検査結果の値が低くても心配することはありません。ちゃんと排卵もするし、注射で育てて採卵して、顕微授精等可能ですからね。

 

では本題、このレコベルの初期用量の決め方です。

用法用量の決め方(添付文書より)

この表のように、AMH値と体重で1日あたりの投与量が算出されます。ね、簡単でしょ。論文によるとこの用量で8~14個の採卵が見込めるようです。ただし、新鮮胚移植の場合のデータです。

 

日本はご存知のとおり、9割が凍結胚移植ですね。そこは考慮してデータを見ていかないといけません。

 

そして副作用発現として注意しなければいけないのがOHSSですね。ただこのレコベルだとOHSS発症リスクが低く、安心!と勘違いしている医師が多いかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。論文については別途解説回を作りますが、データはしっかり読み込む必要があります。

 

さらにOHSSリスクが低いということは、刺激が弱い、とも言えます。表裏一体ですからね。となると卵胞の育ちが悪い、遅い、採卵日がのびてしまう、なども考えられます。途中で発育状態をみて用量を増やしたくても、出来ないんです、この薬剤は。増やしてしまうと添付文書からの逸脱となり指摘が入ってしまいますよね。薬剤師としても院外処方で同周期内での用量変更の指示を受けた場合は、しっかり確認することが必要です。

 

OHSS予防の薬も保険適用になりましたので、非常に難しい匙加減ではあるかと思いますが、最適な刺激で1日も早い妊娠にたどりつける刺激方法が選択されるといいですね。だって、保険適用になったとはいえ、回数制限もあります。そこも悩ましいですよね。回数超えたら、また自費ですよ。

 

簡便な薬剤であることは確かです。もちろん一定の成績も得られているからこそ承認となっていますよね。どの薬剤にもメリットとデメリットはあります。使いやすさと結果って本当に難しいところ。

 

今回は薬剤を客観的に見れる薬剤師目線で記載しました。

 

不妊治療中の方はぜひ先生としっかりと相談して、一日も早い妊娠に結びつくことを願ってます。注射はつらいと思いますが、がんばってください!

 

 

不妊治療で使われるカベルゴリン

こんにちは!日曜薬剤師のキコです。

今日はカベルゴリン(カバサール®)が生殖補助医療関連の効能効果が追加されたので、まとめますよ。

不妊治療で使われるカベルゴリン

 

カベルゴリンってどんな薬?

ひと言でいうとドパミン作動薬です。作用は次のとおり。

持続的なドパミンD2受容体刺激作用を有し、中枢神経系に対しては黒質線条体ドパミンD2受容体に作用して抗パーキンソン作用を示す。また、内分泌系に対しては下垂体前葉のドパミンD2受容体に作用してプロラクチン分泌を特異的に抑制し、抗プロラクチン作用を示す。(カバサール添付文書2022年9月版より引用)

 

カバサールの効能効果

追加となった効能効果はこれ!

「生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群の発症抑制」 ➡つまりOHSSの予防ですね。

 

OHSSの特徴は?

  • おなかが張る ➡ウエストがきつくなった
  • おなかが痛む
  • はき気がする
  • 急に体重が増えた
  • 尿量が少なくなるなど

不妊治療で卵巣刺激薬を使用する薬剤を使用していて、このような症状がみられた時は早めに医師や薬剤師に連絡をしましょう。

 

カバサール®の用法用量

〈生殖補助医療に伴う卵巣過剰刺激症候群の発症抑制〉
通常、カベルゴリンとして1日1回0.5mgを最終的な卵胞成熟の誘発日又は採卵日から7〜8日間就寝前に経口投与する。

 

とこでジェネリックは?

2022年10月現在カベルゴリンのジェネリックは一品目あります。

ただ、こちらは現時点では新規効能は追加になっていないので注意が必要ですね。

先発品カバサールと同時に公知申請をしていなかったのかと思われます。この後、後発品申請ができる段階で申請➡承認となり、時差で効能追加となるのかと思われます。

 

まとめ

不妊治療で使われるカバサールの効能追加についてまとめました。

OHSSの発生頻度は、軽症で8~23%、入院を要する程度で0.8~1.5%と報告されているようです。

日本は海外に比べると新鮮胚移植より凍結胚移植の割合が圧倒的に多く、また凍結胚移植の場合、OHSSの発症を回避できる可能性が高いことが知られております。

 

 

\子どもを持ちたいという方々が安心して有効で安全な不妊治療を受けることができ赤ちゃんが訪れますように/

 

 

不妊に糖尿病の薬って効くの??

こんにちは!日曜薬剤師のキコです。

2022年4月に保険適用になった直後はざわめいてましたが、もう、しっかり認知されてますよね?メトホルミンの生殖補助医療での使われ方。まだ怪しい方がいたら、必読です。

不妊治療で使われるメトホルミン

ご存知の通り、メトホルミン(先発品:メトグルコ®)は糖尿病の薬2型糖尿病」です。

 

2022年4月の保険適用の前から、不妊治療にメトホルミンは使われておりました。そして、保険適用にもなりました!

 

しかし、これを書いている2022年9月12日時点では添付文書には、その効能効果が記載されていません。

 

それは、公知申請で公知該当となっているのですが、承認はおりていないからです。その他の不妊治療薬の点鼻薬などは8月24日に承認となり添付文書も改訂されつつありますよね。この薬剤も間もなく承認となるのだと思いますが、添付文書に書いていないから保険適用外!といって薬剤師の先生方、疑義紹介なさいませぬよう、しっかり確認しておきましょう。

 

適用となった効能効果は、こちらの資料で確認できます。

不妊治療に関する支援について」

https://www.mhlw.go.jp/content/000901931.pdf

 

「効能・効果」

多嚢胞性卵巣症候群排卵誘発
多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激

 

※必ず最新版を確認してくださいね!と思って、厚生労働省のwebページを確認したら更新されておりました。新しい資料はこちらですね。38頁に記載があります。

不妊治療に関する支援について」令和4年8月1日版

https://www.mhlw.go.jp/content/20220801zentai.pdf

 

多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発(ただし、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る)
多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激(ただし、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る)

 

しかし、これだと用法用量がわからないですよね・・・。

そんな時は、面倒かもしれませんが、こちらに個別に記載があります。

www.mhlw.go.jp

 

メトホルミンの多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発の方の資料です。

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000901921.pdf

 

多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激はこちら。

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000901922.pdf

 

この資料の何がすごいって海外の発売状況、ガイドラインエビデンスがテンコ盛りなんです。とても勉強になるのです。資料の宝庫ですよ♪

 

話は戻って、用法用量ですね。

メトホルミンの用法用量

メタ・アナリシスにおいて、PCOS 患者に、従来の COS 法と本薬の併用は、従来の COS 法 と比較した場合、

  • OHSS の発現割合の低下
  • 臨床妊娠率の増加

となったようです。

 

糖尿病と診断されていない不妊治療中の患者様にメトホルミンが処方されることを学びましたが、糖尿病と診断されている方の場合は不妊治療より糖尿病の治療が優先されることをお忘れなく。

不妊の原因はエイジング!?

こんにちは!日曜薬剤師のキコです。

ぶっちゃけ、どのくらい妊娠してて、どのくらい不妊で悩んでいるのか・・・。

妊娠率って正直、高いの?低いの?どっち?

 

不妊症の定義でも触れましたが、子供を持ちたいカップルが健常であれば1年以内に9割が妊娠します。つまり、1年以内に妊娠しなければ「不妊症」と判断されます。

 

最近では、性交渉なく1年経過して妊娠しない、と産婦人科を訪れるカップルもいるようで、それは別問題ですね。性交渉なく自然に妊娠できるようになったら、その技術はすごいですね!

 

では、不妊率について。グラフを参照しましょう。

不妊は年齢と関係している

グラフを見てわかるように、年齢が上がるごとに不妊率も上がってきます。当たり前のようで、本当に理解していましたか??

 

人生100年時代が到来しておりますが、妊娠できる年齢には限度があります。もちろん50歳近くで妊娠・出産している方もいます。でも多くではないですよね?

 

日本の不妊治療のピーク年齢は40歳だとか。

35歳を過ぎると妊娠できる確率はぐんと下がります。

 

18歳を過ぎたら適切な知識を身に着けた上で、ご自身のライフプランを立ててほしいです。妊娠・出産・子育てをしたいのか。希望するならば、それは何歳くらいがいいのか。もちろん計画通りには人生進みませんが、40歳になってから仕事も落ち着いたし、海外旅行も堪能したし、さて、子作り!と思い立ち、でも子供ができにくくなってたーなんて後悔のない人生を歩んでほしいです。

 

もしかしたら、20年後、現在18歳のあなたが38歳になっていて、医療や技術が進歩して問題なく出産できているかもしれませんが。卵子凍結や代理出産など制度が整うことも考えられます。

 

現在、一生懸命不妊治療されている方々には、安心で安全で効果的な治療を受けることができ、赤ちゃんが訪れることを心から願ってます。

 

読んでくださってありがとうございました。

 

 

★キコの願い★

\子どもを持ちたいという方々が安心して有効で安全な不妊治療を受けることができ、赤ちゃんが訪れますように/