生殖医療初心者でも簡単な卵巣刺激薬⁉

こんにちは!日曜薬剤師のキコです。

今日は生殖医療の初心者ドクターでも使いやすい薬剤についてお話します。

 

調節卵巣刺激で注射剤って基本的に使われますよね。

その名のごとく卵巣を刺激して卵胞を育てて複数の卵子を採卵するための薬剤。

 

これ、簡単そうだけど、初めての患者さんに対して、じゃ、どの程度の量の注射を打ってもらうかって、ここが医師の腕の見せ所なんです。

 

患者さんの年齢や卵巣予備能で同じ注射の量でも卵胞の育ち方が変わってくるんですよね。そして途中で量を増やしたり減らしたりするのも医師の経験がものすごく重要となってきます。

 

でも安心してください。初期用量がバイオマーカ―で簡単に決定出来て、かつ、途中で用量調整しなくていい薬剤があるのです。

不妊治療で使われる薬剤

こちらは、患者さんの体重AMH値で投与量が計算できる薬剤なんです。

AMHの詳細については別途解説しますが、簡単にいうと卵巣予備能を知ることができるものです。採血で測定できます。そして、2022年4月から検査として保険適用になりましたね。

AMHとは

AMHについてご存知の方は多いかと思いますが、検査結果の値が低くても心配することはありません。ちゃんと排卵もするし、注射で育てて採卵して、顕微授精等可能ですからね。

 

では本題、このレコベルの初期用量の決め方です。

用法用量の決め方(添付文書より)

この表のように、AMH値と体重で1日あたりの投与量が算出されます。ね、簡単でしょ。論文によるとこの用量で8~14個の採卵が見込めるようです。ただし、新鮮胚移植の場合のデータです。

 

日本はご存知のとおり、9割が凍結胚移植ですね。そこは考慮してデータを見ていかないといけません。

 

そして副作用発現として注意しなければいけないのがOHSSですね。ただこのレコベルだとOHSS発症リスクが低く、安心!と勘違いしている医師が多いかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。論文については別途解説回を作りますが、データはしっかり読み込む必要があります。

 

さらにOHSSリスクが低いということは、刺激が弱い、とも言えます。表裏一体ですからね。となると卵胞の育ちが悪い、遅い、採卵日がのびてしまう、なども考えられます。途中で発育状態をみて用量を増やしたくても、出来ないんです、この薬剤は。増やしてしまうと添付文書からの逸脱となり指摘が入ってしまいますよね。薬剤師としても院外処方で同周期内での用量変更の指示を受けた場合は、しっかり確認することが必要です。

 

OHSS予防の薬も保険適用になりましたので、非常に難しい匙加減ではあるかと思いますが、最適な刺激で1日も早い妊娠にたどりつける刺激方法が選択されるといいですね。だって、保険適用になったとはいえ、回数制限もあります。そこも悩ましいですよね。回数超えたら、また自費ですよ。

 

簡便な薬剤であることは確かです。もちろん一定の成績も得られているからこそ承認となっていますよね。どの薬剤にもメリットとデメリットはあります。使いやすさと結果って本当に難しいところ。

 

今回は薬剤を客観的に見れる薬剤師目線で記載しました。

 

不妊治療中の方はぜひ先生としっかりと相談して、一日も早い妊娠に結びつくことを願ってます。注射はつらいと思いますが、がんばってください!